プレスリリースを配信したあと、そのURLを一度SNSで紹介して終わっていないでしょうか。
プレスリリースはメディアへ情報を届けるための資料ですが、そこには「会社として正式に発表できる情報」「背景」「数字」「画像」「担当者コメント」など、さまざまなコンテンツの材料がまとまっています。
そのため、配信後にSNS、自社サイト、営業資料、メール、採用広報、社内共有などへ二次活用することで、1本のプレスリリースから複数の接点を作ることができます。
PR TIMES MAGAZINEでも、プレスリリースはコーポレートサイト、SNS、採用メディア、営業資料、顧客への案内などへ展開できると紹介されています。また、プレスリリースの二次利用に関する解説では、SNS投稿、企業サイトとの連携、メールやプレゼンでの活用などが挙げられています。
ただし、二次活用は「同じ文章をすべての媒体へコピペすること」ではありません。
この記事では、プレスリリースを配信後に活用する10の方法と、媒体ごとの書き換え方、やってはいけない使い回し、配信後1週間の実務フローまでまとめて解説します。
プレスリリースは「配信して終わり」ではもったいない
プレスリリースの第一の役割は、記者・編集者へニュースの材料を届けることです。
しかし、その内容を必要としているのはメディアだけではありません。
- 既存顧客
- 見込み顧客
- 取引先
- 求職者
- 社員
- 株主・金融機関
- SNSのフォロワー
など、企業には複数のステークホルダーがいます。
同じニュースでも、相手によって知りたいポイントは異なります。
例えば新サービスの発表なら、記者は「何がニュースなのか」を見ますが、顧客は「自分にどんなメリットがあるのか」、営業先は「導入すると何が変わるのか」、求職者は「どんな会社がどんな挑戦をしているのか」を見ています。
つまり、プレスリリースを情報の原材料として使い、相手ごとに見せ方を変えることで、1つのニュースを何度も活かせます。
PESOモデルで考えると二次活用の全体像が分かりやすい
広報・PRでは、情報発信のチャネルをPaid・Earned・Shared・Ownedの4つに分ける「PESOモデル」という考え方があります。
PR TIMES MAGAZINEのPESOモデル解説では、Paidは広告、Earnedはメディア掲載、SharedはSNS、Ownedは自社サイトなどの自社メディアと整理されています。
| 区分 | 代表例 | プレスリリース二次活用の例 |
|---|---|---|
| Earned | 新聞・テレビ・Webメディア | 取材・記事掲載につなげる |
| Shared | X・LinkedIn・Instagramなど | 要点を短く再編集して発信 |
| Owned | 自社サイト・ブログ・採用サイト | 顧客・求職者向けに深掘り |
| Paid | 広告・タイアップ | 反応の良いニュースを広告クリエイティブへ展開 |
プレスリリースをEarnedだけで終わらせず、SharedやOwnedへ展開することで、メディアに掲載されなかった場合でも自社の情報資産として残せます。
逆に、メディア掲載された場合は、その記事を営業・採用・SNSなどで活用できるため、さらに使い道が広がります。
プレスリリースの二次活用10選
1.自社サイトのニュース欄に掲載する
最も基本的な二次活用が、自社サイトへの掲載です。
配信サービスのページだけに情報を置いている企業もありますが、公式サイトにもニュースとして残しておくと、顧客・取引先・求職者が自社の最新動向を確認しやすくなります。
ただし、配信サービスの本文をそのままコピーするだけでは、自社サイト上での役割が弱くなります。
自社サイトでは、
- サービスページへのリンク
- 問い合わせ先
- 購入・申込ページ
- 導入事例
- 関連する過去記事
など、自社サイトだからこそ設定できる導線を追加しましょう。
「ニュースを知って終わり」ではなく、次の行動へ進めるページにすることがポイントです。
2.Xで「1投稿1メッセージ」に分解する
Xでは、プレスリリース全文を要約して1投稿に詰め込むより、1つのニュースを複数の切り口に分けた方が発信しやすくなります。
例えば新サービスのプレスリリースなら、次のように分解できます。
- サービス開始のお知らせ
- 開発した背景
- 解決したい課題
- 特徴的な機能
- 開発担当者のコメント
- 利用シーン
1本のプレスリリースから、数日分の投稿テーマを作ることもできます。
PR TIMESでも、配信したプレスリリースをSNSで共有し、投稿後の反応まで広報活動へ取り込むことを紹介しています。
重要なのは、タイトル+URLだけを毎回投稿するのではなく、投稿単体でも読む価値がある情報を1つ入れることです。
3.LinkedInでは「会社の意思・背景」を深掘りする
LinkedInでは、単なる発表内容よりも、「なぜこの事業を始めたのか」「業界をどう見ているのか」「経営として何を目指しているのか」といった背景を文章にしやすい媒体です。
プレスリリースの開発背景や代表コメントをベースに、経営者や担当者の視点を追加して投稿すると、プレスリリースとは違う読み物になります。
特にBtoB企業では、取引先・採用候補者・業界関係者など複数の相手へ届けられるため、公式発表と相性の良いチャネルです。
同じ文章を貼るのではなく、プレスリリースを「会社としての発表」、LinkedInを「人の視点」と分けると使いやすくなります。
4.メールマガジン・既存顧客への案内に使う
既存顧客にとって重要なニュースなら、メールで案内する方法もあります。
新機能、料金改定、店舗開設、イベント、導入事例などは、メディア向けのプレスリリースよりも顧客への直接案内の方が成果につながる場合があります。
メールではプレスリリース全文を貼らず、
- 顧客に関係する変更点
- 利用するメリット
- 開始日
- 詳しい説明ページ
だけを簡潔に伝えます。
「報道発表したから顧客も知っているだろう」と考えず、重要な相手には別のチャネルで届けることが必要です。
5.営業資料・商談で使う
プレスリリースは営業活動にも活用できます。
PR TIMES MAGAZINEでも、プレスリリースを商談資料、リード獲得、既存顧客への案内、展示会などへ活用する方法が紹介されています。
例えば、
- 新サービス発表を商談資料の実績ページに追加
- 業務提携のリリースを会社の信用材料として提示
- 調査リリースの数字を営業トークに活用
- メディア掲載実績を提案書へ追加
といった使い方があります。
ただし、プレスリリースそのものを営業資料へ丸ごと貼るより、営業先に関係する部分だけを1枚に整理した方が使いやすくなります。
6.採用サイト・採用SNSで企業理解に使う
プレスリリースは求職者にとっても、会社の現在地を知る材料になります。
新規事業、拠点拡大、新制度、受賞、業務提携、社会課題への取り組みなどは、採用広報との相性が良いテーマです。
採用サイトでは、「会社のニュース」として並べるだけでなく、
- この事業に関わる社員
- プロジェクトの裏側
- どんな仕事が増えるのか
- 今後どんな人材が必要なのか
まで深掘りすると、求職者向けのコンテンツになります。
PR TIMESの二次利用解説でも、企業サイトのニュース欄だけでなく採用ページへ最新情報を届ける活用方法が紹介されています。
7.社内共有・社内報に使う
意外と見落とされやすいのが、社内への共有です。
会社が何を発表したのかを社員が知らない状態では、顧客から質問されたときに回答できません。
配信後は、社内チャットや社内報で、
- 何を発表したか
- なぜ発表したか
- 誰に届けたいニュースか
- 問い合わせが来た場合の窓口
を共有しておくとよいでしょう。
社員がSNSでシェアする場合も、公開済み情報と未公開情報の線引きを分かりやすくできます。
8.営業・採用・広報のFAQや説明文へ転用する
プレスリリースを作る際には、商品概要、開発背景、特徴、数字、会社情報などを整理します。
この情報は、WebサイトのFAQ、営業担当者の説明文、採用担当者の会社紹介などにも転用できます。
広報だけが情報を持つのではなく、会社全体で使える「公式説明のベース」として残しておくと、部署ごとに説明がばらつきにくくなります。
9.次のプレスリリースにつなげる
1回の発表でニュースが終わるとは限りません。
新サービス発表後に、
- 利用社数100社突破
- 新機能追加
- 導入事例
- ユーザー調査
- 地方展開
- 業務提携
など、新しい事実が生まれれば次の発表につながります。
過去リリースを振り返り、「その後どうなったか」を定期的に確認すると、新しい広報ネタを見つけやすくなります。
広報ネタの見つけ方は「広報ネタがない会社必見!プレスリリースのネタ20選と見つけ方」でも紹介しています。
10.メディア掲載されたら「掲載実績」を別資産として活用する
プレスリリースをきっかけに新聞・テレビ・Webメディアなどへ掲載された場合、その掲載実績は新しい情報資産になります。
掲載記事は、
- 自社サイトのメディア掲載欄
- 営業資料
- 採用資料
- SNS
- 社内共有
などへ展開できます。
ただし、記事本文や画像を無断で転載してよいとは限りません。媒体の記事を自社サイトへそのままコピーしたり、紙面の画像をSNSへ掲載したりする場合は、著作権や媒体側の利用条件を確認する必要があります。
基本は「○○メディアに掲載されました」と紹介し、許可された範囲で記事URLへ案内する方法が安全です。
取材・掲載後のフォローについては、「取材・メディア掲載後のお礼メールの書き方」も参考にしてください。
二次活用で重要なのは「コピペ」ではなく「再編集」
二次活用と聞くと、同じ原稿を複数媒体へ貼り付けることをイメージするかもしれません。
しかし、実務では誰に向けた媒体なのかに合わせて、情報の順番と表現を変えることが重要です。
| 媒体 | 最初に伝えること | 向いている表現 |
|---|---|---|
| プレスリリース | 何がニュースなのか | 事実・新規性・社会性 |
| X | 一番興味を引くポイント | 短く具体的 |
| なぜ取り組むのか | 背景・考え・業界視点 | |
| 顧客メール | 顧客にどんな影響があるか | メリット・変更点 |
| 営業資料 | 商談相手にとっての価値 | 数字・実績・比較 |
| 採用コンテンツ | 会社がどこへ向かっているか | 人・仕事・成長性 |
同じ事実を使いながら、入口を変えるイメージです。
1本のプレスリリースを5本のSNS投稿に分解する例
例えば、「中小企業向けAI業務支援サービスを開始」というプレスリリースを配信したとします。
その場合、XやLinkedInでは次のように分解できます。
- 発表:新サービスを開始した事実
- 課題:なぜ中小企業にこのサービスが必要なのか
- 開発背景:現場でどんな課題を見たのか
- 特徴:他の方法との違い
- 人:開発担当者・代表者のコメント
こうすれば、同じニュースを5回同じように宣伝するのではなく、5つの異なる情報として発信できます。
配信後1週間の二次活用スケジュール例
二次活用は、配信後に思いついたときだけ行うより、あらかじめルーティン化すると続けやすくなります。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 配信当日 | 自社サイト掲載、SNSで第一報、社内共有 |
| 翌日 | 既存顧客・営業チームへ共有、問い合わせ対応 |
| 2〜3日後 | 開発背景・担当者コメントをSNSで発信 |
| 3〜5日後 | 掲載状況を確認、メディア掲載があれば共有 |
| 1週間後 | PV・反応・問い合わせを振り返り、次の発信候補を整理 |
プレスリリース配信後の効果測定については、「プレスリリースの効果測定とは?配信後に見るべきKPIと次回につなげる振り返り方」で詳しく解説しています。
二次活用でやってはいけない7つのNG
1.すべての媒体に同じ文章をそのまま載せる
媒体ごとに読者も利用目的も違います。コピペではなく、相手に合わせて入口を変えます。
2.毎回「プレスリリースを出しました」で終わる
ユーザーにとって重要なのは配信した事実ではなく、中身です。何が変わったのか、なぜ重要なのかを伝えましょう。
3.SNSで一日に何度も同じURLを投稿する
切り口を変えずに同じリンクを繰り返すと、フォロワーには同じ宣伝に見えます。
4.メディア掲載記事を無断転載する
自社が取材された記事でも、記事本文・写真・紙面などの権利は自社にあるとは限りません。転載条件を確認します。
5.二次活用のために内容を誇張する
プレスリリースでは事実だった内容でも、SNSで強く見せようとして「業界No.1」「日本初」など根拠のない表現へ変えてはいけません。
6.古い情報をいつまでも使う
価格、利用社数、店舗数、機能などは更新されます。営業資料や採用資料へ転用した場合は、情報の更新日も管理しましょう。
7.配信後の反応を記録しない
どの切り口がSNSで反応されたか、営業で使いやすかったか、問い合わせが増えたかを記録しておくと、次のプレスリリース作成にも生かせます。
二次活用を仕組み化するための社内チェックリスト
- 自社サイトへ掲載したか
- X・LinkedInなどSNSへ展開したか
- 既存顧客へ案内する必要があるか確認したか
- 営業資料へ使える情報があるか確認したか
- 採用コンテンツへ使えるニュースか確認したか
- 社内へ発表内容を共有したか
- メディア掲載の有無を確認したか
- 掲載実績を記録したか
- 次の発表につながる数字・進捗を記録したか
- 配信1週間後に反応を振り返ったか
このチェックリストをプレスリリース配信の標準業務に入れておくと、「配信して終了」を防ぎやすくなります。
年間広報計画の中に「二次活用」まで入れておく
二次活用を忘れないためには、プレスリリースを作った後に考えるのではなく、年間計画や月間計画の時点でセットにしておく方法がおすすめです。
例えば年間計画表に、
- プレスリリース配信日
- SNS投稿日
- 顧客案内日
- 営業資料更新日
- 効果測定日
まで入れておけば、1つのニュースを複数チャネルへ展開できます。
年間の広報活動を設計する方法は、「中小企業の年間広報計画の作り方|12か月のスケジュール例とテンプレート」で詳しく解説しています。
プレスリリースの二次活用は「広報だけの仕事」にしない
営業資料なら営業、採用コンテンツなら人事、顧客メールならカスタマーサクセスなど、二次活用には複数部署が関わります。
広報担当者がすべてを書き直すのではなく、プレスリリースを「会社として確認済みの公式情報」として共有し、それぞれの部署が目的に合わせて使える状態にすると効率的です。
例えば配信時に社内チャットで、
本日、○○についてプレスリリースを公開しました。
営業資料・顧客案内・採用広報などで利用可能です。
使用する場合は、最新の数字・画像は下記フォルダをご利用ください。
と案内し、公式素材の場所をまとめておくと使いやすくなります。
まとめ|1本のプレスリリースを「1回の配信」で終わらせない
プレスリリースは、メディアへ送信した瞬間に役割を終えるものではありません。
自社サイト、SNS、メール、営業資料、採用広報、社内共有などへ展開することで、同じニュースを異なるステークホルダーへ届けることができます。
重要なのは、同じ文章をコピーすることではなく、プレスリリースに整理した事実・数字・背景・コメントを原材料として、相手ごとに再編集することです。
そして配信後の反応を記録し、その結果を次の発信へ戻すことで、1本のプレスリリースが単発の広報施策ではなく、継続的なコンテンツ資産になります。
まず次のプレスリリースを配信するときは、配信前に「このニュースは自社サイト・SNS・営業・採用でどう使えるか」を5分だけ考えてみてください。
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