プレスリリースを配信したあと、「何件のメディアに掲載されたか」だけを見て終わっていないでしょうか。
掲載数は分かりやすい指標ですが、プレスリリースの成果はそれだけではありません。配信ページがどれくらい読まれたか、自社サイトへの流入が増えたか、SNSで反応があったか、問い合わせや商談につながったかまで確認すると、次回の改善材料が見えてきます。特に「閲覧はあるのに掲載されない」「配信しても反応がない」といった場合は、数字だけでなく原因を切り分けることが大切です。掲載・取材につながらない7つの原因と改善策もあわせて確認すると、次回の打ち手を整理しやすくなります。逆に取材依頼まで進んだ場合は、そこで終わりではなく、初動・社内調整・事前準備・当日対応まで整えることが重要です。詳しくは「取材依頼が来たらどうする?広報担当者の対応手順とチェックリスト」で解説しています。
この記事では、プレスリリース配信後に確認したいKPIと、数字を次の配信に生かすための振り返り方を、中小企業の広報担当者にも実践しやすい形で整理します。
プレスリリースの効果測定は「配信して終わり」にしないために行う
プレスリリースは広告と違い、配信した金額に対して何件の購入が生まれたかを単純に計算できるとは限りません。記者への情報提供、記事掲載、検索、SNSでの拡散、自社サイトへの流入など、複数の経路を通じて効果が表れます。
そのため、1つの数字だけで成功・失敗を判断するより、「どこまで届いたか」「どのような反応があったか」「事業に近い行動につながったか」を段階的に見る方が実態をつかみやすくなります。取材や掲載まで進んだ場合は、その成果を記録するだけでなく、掲載後のお礼や記者との関係履歴も残しておくと、次回の情報提供につなげやすくなります。具体的なフォロー方法は「取材・メディア掲載後のお礼メールの書き方」で解説しています。
@Pressの広報ノウハウでも、掲載数だけでなく、自社サイトへのアクセスやSNSの反応を確認し、次回の改善点を蓄積する考え方が紹介されています。PR TIMESも、PV・UUや転載先、参照元などの分析データを次回の改善に活用することを案内しています。
まず確認したい5つのKPI
| KPI | 何が分かるか | 確認例 |
|---|---|---|
| 独自記事化 | 媒体側が編集・取材して扱った内容 | 媒体数、記事の主題、伝えたい情報が含まれるか |
| 原文転載・提携サイト掲載 | 発表情報が掲載された場所 | 転載URL、重複を除いた掲載先。独自記事化と分けて記録 |
| プレスリリースの閲覧 | 発表そのものへの関心 | PV、UU、参照元 |
| 自社サイトへの流入 | 興味を持った人が次の行動をしたか | セッション、ランディングページ、参照元 |
| SNSの反応 | 生活者への波及や話題化 | 投稿数、シェア、コメント、反応 |
| 問い合わせ・申込 | 事業に近い成果につながったか | 問い合わせ、資料請求、申込、商談 |
すべての企業が5項目を完璧に測る必要はありません。最初は「掲載」「自社サイト流入」「問い合わせ」の3つだけでも十分です。継続して同じ指標を記録する方が、1回だけ細かく分析するより比較しやすくなります。
1.メディア掲載数・掲載内容
最も分かりやすいのが、新聞、テレビ、Webメディア、専門媒体などへの掲載です。ただし、件数だけではなく「どの媒体が、どの切り口で紹介したか」まで見ます。
- 想定していた業界メディアに届いたか
- タイトルや本文のどの情報が記事で使われたか
- 単純転載なのか、記者による独自記事なのか
- 問い合わせや追加取材があったか
たとえば掲載が少なくても、狙っていた専門媒体から取材が入ったのであれば、単純な掲載件数以上の価値がある場合があります。
2.プレスリリースページのPV・UU
配信サービスによっては、プレスリリースページのPVやUU、参照元などを確認できます。どのテーマが読まれやすかったのか、タイトル変更や配信時間の違いが数字に表れたかを比較すると、次回の仮説を作りやすくなります。
ただし、PVが高いこととメディア掲載や売上が多いことは同じではありません。PVは「関心を持たれた度合いを見る指標の1つ」として扱いましょう。
3.自社サイトへの流入
プレスリリースを読んだ人が、商品ページ、サービスページ、会社サイトなどへ移動したかも重要です。Google Analyticsなどを利用している場合は、配信前後のアクセス数や参照元を確認できます。
特定のプレスリリースからの流入を把握したい場合は、配信文中のURLに計測用パラメータを付ける方法もあります。ただし、媒体側でURLが書き換えられる場合もあるため、数字は絶対値ではなく傾向を見る材料として使うのが現実的です。
4.SNSでの反応
一般消費者向けの商品、イベント、調査データなどは、SNSでどのように受け止められたかも参考になります。公式アカウントの投稿だけでなく、第三者による投稿やコメントから、想定していなかった関心ポイントが見つかることがあります。反応が取れた切り口は、そのまま次回のリリース改善に使うだけでなく、自社サイトや営業資料、採用広報などへ再編集して活用することもできます。具体例は「プレスリリースの二次活用10選」でまとめています。
配信サービス側でも効果測定機能は拡充されています。たとえば@Pressは2026年8月、自動クリッピングでWeb掲載に加えてX・YouTube上のSNS反響を確認できる機能を追加したと発表しています。利用できる機能や対象プランはサービスごとに異なるため、契約中の管理画面や最新の案内を確認してください。
5.問い合わせ・資料請求・申込
最終的に事業への影響を見たい場合は、問い合わせ、資料請求、イベント申込、採用応募なども記録します。
ただし、広報は接触から問い合わせまで時間が空くこともあります。「プレスリリース経由」と明確に判定できない成果まで無理に数字へ結びつける必要はありません。問い合わせフォームに「当社を知ったきっかけ」を設けるなど、測れる範囲を少しずつ増やすのがおすすめです。
掲載数だけで成功・失敗を決めない
広報担当者が陥りやすいのが、「10媒体掲載されたから成功」「掲載ゼロだから失敗」と判断することです。
プレスリリースのテーマによって、狙う相手は違います。全国向けの新商品と、特定業界向けの業務提携では、適切なKPIも変わります。業界紙1媒体への掲載が重要な発表もあれば、多くの生活者へ届くことが重要な発表もあります。
配信前に「今回の目的」を1つ決めておくと、効果測定がしやすくなります。目的がメディア掲載なら掲載媒体、認知拡大なら閲覧やSNS、集客ならサイト流入や申込を重視します。
効果測定は配信前から準備する
配信後になってから「何を測ろう」と考えると、必要なデータを取れないことがあります。配信前に、最低限次の3点を決めておきましょう。
- 目的:掲載、認知、サイト流入、申込など
- 見る数字:目的に合うKPIを2〜3個
- 比較対象:過去の配信、配信前のアクセス、同種の発表など
また、配信する曜日や時間帯も比較材料になります。まだ配信タイミングを決めていない場合は、プレスリリースを配信するタイミングも参考にしてください。
配信後は「数字→理由→次回の変更点」の順で振り返る
数字を記録するだけでは、次回の配信は変わりません。おすすめは、1回の配信ごとに次の3段階で振り返ることです。
STEP1.事実を並べる
掲載数、PV、自社サイト流入、SNS反応、問い合わせなどを、評価せずに記録します。前回と比較できる数字があれば一緒に残します。
STEP2.差が出た理由を仮説にする
「新商品だったから」「タイトルに具体的な数字を入れたから」「写真が分かりやすかったから」「配信先がテーマと合っていたから」など、数字が変わった理由を考えます。原因を断定する必要はありません。
タイトルを改善したい場合はプレスリリースのタイトルの付け方、原稿全体を見直す場合はプレスリリースの書き方もあわせて確認してください。
STEP3.次回に変えることを1〜2個だけ決める
一度に全部変えると、何が効いたのか分かりにくくなります。「タイトルを具体化する」「配信先を見直す」「写真を増やす」など、次回に試すことを1〜2個に絞ると検証しやすくなります。
簡単に使える振り返りシートの項目
| 配信日 | 20XX年○月○日 |
|---|---|
| 発表テーマ | 新商品/イベント/調査/提携など |
| 今回の目的 | 例:業界メディアでの掲載 |
| 掲載 | ○媒体、主な掲載先 |
| 閲覧・流入 | PV、サイト流入、参照元 |
| SNS | 投稿、シェア、コメント等 |
| 問い合わせ | 取材、資料請求、申込等 |
| 良かった点 | 次回も続けること |
| 改善点 | 次回に1〜2個試すこと |
この形式で配信ごとに記録していくと、半年後には自社なりの傾向が見えてきます。単発のヒットを狙うより、継続しながら改善していく考え方が重要です。配信頻度についてはプレスリリースはどのくらいの頻度で配信する?で詳しく解説しています。
広告換算値を広報の成果やROIとして扱わない
掲載スペースを広告料金に置き換える「広告換算値(AVE)」は、認知・理解・行動の変化を測ったものではありません。AMECのBarcelona Principles 4.0(2025年)でも、AVEのような無効な指標を使わず、コミュニケーションの成果と影響を評価する考え方が示されています。
社内説明では、掲載の内容、対象者への到達、自社サイトでの行動、問い合わせなどを目的に合わせて組み合わせましょう。広告費に置き換えた金額を「広報で得た売上」や「投資利益」として報告しないことが大切です。
配信サービスを選ぶときは効果測定機能も確認する
プレスリリース配信サービスによって、確認できる分析データやクリッピング機能は異なります。料金や配信先だけでなく、配信後にどのようなデータを確認できるのかも比較ポイントです。
主要サービスの違いをまとめて確認したい方は、プレスリリース配信サービス5社の比較も参考にしてください。
よくある質問
プレスリリースの効果は何日後に確認すればよいですか?
配信当日だけでなく、数日後・1週間後など複数回確認すると変化を把握しやすくなります。媒体によって記事化までの時間が異なるため、配信直後の数字だけで判断しないことが大切です。
掲載されなかったプレスリリースは失敗ですか?
掲載が目的だった場合は改善が必要ですが、配信した原稿や反応を振り返ることで次回の改善材料は得られます。テーマ、タイトル、配信先、タイミングなどを分けて見直しましょう。
毎回同じKPIを見るべきですか?
基本となる指標はそろえつつ、発表の目的に応じて重点を変えるのがおすすめです。比較するために共通の項目を残しながら、イベントなら申込、新商品なら商品ページ流入などを追加します。
まとめ|効果測定は次のプレスリリースを良くするために行う
プレスリリースの効果測定では、掲載数だけを見るのではなく、閲覧、自社サイト流入、SNS反応、問い合わせなどを目的に合わせて組み合わせます。
- 配信前に目的とKPIを決める
- 掲載数・PV・流入・SNS・問い合わせを必要な範囲で記録する
- 数字の差から理由を仮説にする
- 次回に変えることを1〜2個決める
- 同じ形式で継続して比較する
広報は1回の配信だけで評価するより、発表と振り返りを繰り返すことで、自社に合うテーマや届け方が見つかりやすくなります。
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参考:@Press PRHACK「プレスリリースの効果はどう測る?効果測定の仕方」、PR TIMES MAGAZINE「プレスリリース配信後に見るべきデータと効果改善のポイント」、@Press「SNSクリッピング」機能追加のお知らせ(いずれも2026年9月確認)。

